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徒然なるままにひぐらし。現在、不定期運行中。本来のジャンルはアニメ・鉄道なのだが。
 
インテリジェント・デザインをご存じだろうか?
しばしばIDと省略されることもあるが、聖書信仰からできたものだ。
いまのところ、主にアメリカで盛んらしいが最近日本にも上陸して勢力を広めているとか。

聖書によると人間(や世界)は神につくられた。
一部の信仰者は、進化論全てを否定するものもあるが、このインテリジェント・デザインは進化論を一部認めている。
確かに進化は起こったが、それは「知的な存在」が引き起こした(操作した)ものだという主張である。

この「知的な存在」をなぜ単刀直入に「神」と言わないのかというと、他の宗教へのアピールや、教育での政教分離にひっかからないようにするためらしい。


ざっとした概要はこんな感じだ。
読んでもらったのでわかると思うが、「神」を「知的な存在」と言い換えて、宗教色を薄めたに過ぎないという批判が出てくるのも当然だと思う。
しかも、これが教育(まだ日本にはさほど広まっていない)に組み込まれるとなると(実際、ID肯定者はそう主張しているらしい)、まずいと思わないだろうか?

そこで、登場するのが今回の「反★進化論講座」である。
この「反★進化論講座」は著者ボビー・ヘンダーソンが預言者となった「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」の本である。
「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」と言っても、IDのパロディでこの世界は「空飛ぶスパゲッティ・モンスター」(以下スパモン)がつくったと主張する。天国にはビールの噴く火山とストリッパー工場(なんで工場?)があるとか。

ヘンダーソンは、ID論者が「進化論は未証明の仮説に過ぎないのだから、科学的な仮説であるIDも教えるべき」との主張をそっくりそのまま引き継ぎ、「ならば未証明の仮説であるスパモンによる創造説も教えるべき」と主張した。
つまりはIDの「知的な存在」とは「スパモン」のことであるという主張(らしい)。

スパモン教はIDのパロディであるから、当然現在の進化論は間違っているということになる。
では、スパモン教の進化論とはなんであろうか?
ずばり、人類の先祖は海賊である。笑ってはいけない、その証拠にDNAは99%一致する(笑)(ちなみに残りの1%ぐらいは個体差だったはず)
しかも、海賊はスパモンに選ばれし民であった。その証拠に、海賊が殆どいなくなった現在は地球温暖化などさまざまな問題が発生しているではないか。

と、このようにおかしな論理展開が行われていくわけだ。
しかし、この本の根本的な存在理由はIDのパロディである。つまり、IDもへんてこな論理展開をしていると言うことだ。(まず、進化論に喧嘩を売っているところからもわかると思うが)

私はスパモン教に強く惹かれている。
まず、相手のおかしさを指摘するのにパロディをもってするというところが好きだ。日本人にはない発想だと思う。
次に、スパモン教はドグマを否定する。スパモンはあくまで仮説であって、それに変わる仮説が証明されればそちらに取って代わられても構わない。異色の宗教(と呼べるかどうかはわからないが)である。
最後に、教義(と呼べるかどうかはわからないが)がいい。
スパモンからの「本当に止めて欲しいこと」の中には、私をたたえるために荘厳な寺社仏閣を建てるぐらいならそのお金を貧困をなくすことなどに使いなさい、というのもある。

スパモン教は、スパモンとはいってきたが、宗教とは肌色が違う。しかし、科学的な仮説とも違う。そのあいのこのような感じを受ける。
しかしながら、著者そして訳者(翻訳もかなりノッている)のセンスとユーモアあふれたこの「反★進化論講座」は、IDの問題抜きにしても楽しめること間違いなしの本なので、おすすめしたい。


反★進化論講座 ボビー・ヘンダーソン/著 片岡夏美/訳 築地書館 2006年 初版
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